高知家庭裁判所 平成8年(家)560号・平8年(家)908号
主文
1 相手方の寄与分を定める申立てを却下する。
2 被相続人Aの遺産を次のとおり分割する。
(1) 別紙遺産目録記載I23の土地、同II3の建物、同IIIの預貯金、同IVの1、2の生命保険及び同V1のゴルフ会員券は、申立人の単独取得とする。
(2) 別紙遺産目録記載I1から22までの土地、同II1、2の建物、同IV3の有限会社a退職金、同V2の有限会社a社員券380口は、相手方の単独取得とする。
3 相手方は申立人に対し、513万8705円を支払え。
理由
一件記録に基づく当裁判所の事実の認定及び法律上の判断は、次のとおりである。
1 相続の開始、相続人及び法定相続分
被相続人A(以下「被相続人」という)は、平成7年7月25日死亡し、相続が開始した。その相続人は、長女の申立人、妻の相手方であって、その法定相続分は、それぞれ2分の1である。
2 遺産の範囲等
(1) 被相続人の遺産は、別紙遺産目録(以下「遺産目録」という)記載の不動産、預貯金、有価証券等であり、その合計は、1億0280万4476円である(山林を除く土地、建物の評価は、平成7年度固定資産評価額によった。番号7及び9を除く山林の評価は、森林組合による立木を含めた評価額である)。
(2) 申立人は、遺産目録I23、II3の土地建物に居住し、相手方は、遺産目録I1、II1の土地建物に居住し、有限会社aの取締役をしている。
3 特別受益
(1) 申立人は、昭和54年、別紙特別受益目録記載1、2の土地建物の贈与を受けた。その価額は、200万2778円である。
(2) 相手方は、昭和52年、別紙特別受益目録記載3、4の土地の贈与を受けた。その価額は877万1000円である(なお、この価額は、遺産目録記載21の固定資産評価額を基に算出した)。
(3) 相手方は、(2)の土地は自らが取得したものであると主張するが、被相続人と相手方は、昭和51年に結婚したもので、その直後とも言える昭和52年に相手方名義で取得していること、申立人も、それにほど近い昭和54年に土地建物の贈与を受けていることからすれば、(2)の土地は、被相続人から贈与を受けたものと推認され、これを覆すに足りる証拠はない。
4 寄与分
(1) 相手方が、被相続人の経営していたa社の事務員として、経理事務の仕事に限らず、対銀行交渉までしていたことは認められるが、それは事務員としての給与を取得しながらのことであり、特別に寄与したとは認めるに足りない。
(2) また、相手方は、平成5年に被相続人が脳梗塞で倒れ、高知市内の病院に入院以後、被相続人死亡の平成7年7月25日まで付き添い、看病をしたことは認められるが、夫婦には協力扶助義務があるのであり、このことをもって特別に寄与したとは認めるに足りない。
5 みなし相続財産等
(1) みなし相続財産の額は、次のとおり、合計1億1357万8254円である。
(みなし相続財産 = 遺産額+受益の額=102,804,476+8,771,000+2,002,778 = 113,578,254)
(2) そして、それぞれの具体的相続分は
申立人 5478万6349円
(みなし相続財産×相続分-特別受益)
113,578,254×1÷2-2,002,778 = 54,786,349
相手方 4801万8127円
(みなし相続財産×相続分-特別受益)
113,578,254×1÷2-8,771,000 = 48,018,127
となる。
6 遺産分割についての希望
申立人は、将来高知に戻ることを前提に、遺産目録I1から13及び23の土地の取得を希望している。また、相手方は、被相続人が代々受け継いできた不動産をバラバラにしたくないので、養子を迎えてそれに継がせたい希望を持ち、そのため、高知にある不動産全部の取得を希望している。
7 前述したように、申立人は、遺産目録I23、II3の土地建物に居住しているのであるから、申立人には同土地建物、遺産目録IIIの預貯金、IVの1、2の生命保険及びV1のゴルフ会員券を単独取得させ(合計額4964万7554円)、相手方は、遺産目録I1、II1の土地建物に居住しているのであるから、遺産目録I1から22までの土地、II1、2の建物、IV3の退職金、V2のa有限会社社員券380口を単独取得させ(合計額5315万6922円)るのが相当である。
また、申立人の具体的相続分は、5478万6349円であるところ、その取得した不動産、預貯金等の合計額は、4964万7554円であるから、513万8795円不足となり、相手方の具体的相続分は4801万8127円であるところ、その取得した不動産等の合計額は、5315万6922円であるから、513万8795円過剰となる。したがって、相手方は申立人に対し、遺産を取得した代償金として、513万8795円を支払うべきである。よって、主文のとおり審判する。